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もし45mの津波が来るとしたら!津波遡上高の重要性

津波は自然災害の中でも特に恐ろしい現象の一つです。

その威力は計り知れず、甚大な被害をもたらします。

津波の高さもさることながら、遡上高(そじょうこう)も深刻な問題です。

遡上高とは何か

遡上高とは、津波が陸地に到達した際に海抜からどれだけ高い場所まで水が到達したかを示す指標です。

遡上高は単なる数字ではありません。

それは生命の危険を示す重要な指標であり、適切な避難計画を立てる上で欠かせない情報です。

2011年に発生した東日本大震災では、岩手県宮古市田老地区で最大遡上高40.5メートルが観測されました。

田老地区は過去にも1958年のチリ地震津波の影響を受けており、そのため高さ10m以上の防潮堤を築いていましたが、それを乗り越えて被害が出ました。

(田老地区のマップです)

このように、遡上高の影響は非常に大きく、適切な対策を講じる必要があります。

遡上高の計算方法

遡上高の計算は、複雑な要因に左右され、正確な予測は難しいですが、基本的な計算モデルとして「Green’s law (グリーンの法則)」が一般的に利用されます。

Green’s law は、津波の波高の変化を簡易的に計算するための法則です。

この法則を用いて遡上高を計算する手順は以下の通りです。

Green’s law(グリーンの法則)

Green’s law は、津波の波高が深海から浅海に移動する際の変化を示すものです。

以下の式が基本となります。

H2 = H1 * (h2 / h1) ^ (1/4)
  • H1:深海部での津波の波高(m)
  • H2:浅海部での津波の波高(m)
  • h1:深海部の水深(m)
  • h2:浅海部の水深(m)

この法則により、津波が深海から浅海に移動する際の波高の変化を計算することができます。

一般的には、津波は浅海に近づくにつれて波高が増加します。

あ!難しそうに思ったでしょ・・・・ですよね。

私もそう思います 草

遡上高の推定

遡上高の推定は、津波の波高や水深のみに依存するわけではなく、地形や波の進行方向、エネルギー散逸、反射など多くの要因が影響します。

遡上高の推定には、以下のような複数の要因を考慮した複雑なモデルが使用されます。

  1. 津波の波高と波長
    津波の波高が高いほど遡上高も高くなる傾向があります。
    また、波長が長い津波は、エネルギーがより遠くまで伝わりやすいです。
  2. 地形
    海岸線の形状や傾斜、湾の形状などが遡上高に大きく影響します。
    狭い湾や急な斜面では津波のエネルギーが集中しやすく、遡上高が高くなります。
  3. 摩擦とエネルギー散逸
    海底の摩擦や沿岸の植生などが津波のエネルギーを減少させる要因となります。

数値モデルによる計算

現代の津波予測では、数値シミュレーションモデルが利用されています。

これらのモデルは、Navier-Stokes 方程式や浅水波方程式などの流体力学の基本方程式を解くことで、津波の伝播、波高、遡上高を予測します。

代表的な手法として

  1. 非線形浅水波方程式
    非線形浅水波方程式は、浅い水域での波の動きを記述するために使用される方程式です。
  2. 2次元および3次元モデル
    2次元の浅水波方程式を解くことで、より詳細な津波の挙動を予測できます。また、より精度を高めるために3次元モデルも利用されます。

これらの数値モデルを駆使することで、より詳細な地形情報や津波の動力学を考慮した精密な予測が可能となります。

方程式についてはチンプンカンプンなので、省略します。

とにかく、いろんな方程式で導き出せるということだけご理解くださいねww

ここまでのまとめ

津波の遡上高の正確な予測は、複数の要因が絡み合うため、非常に難しいものです。

Green’s law のような基本的な法則を利用することで波高の変化を予測することは可能ですが、実際の遡上高の計算には数値シミュレーションが不可欠です。

これにより、より詳細な地形情報や津波の動力学を考慮した精密な予測が可能となります。

したがって、津波の遡上高の計算には、地形や波の特性、数値モデルを駆使した複雑なアプローチが必要となります。

津波のシミュレーション:実例を用いて

シミュレーションの前提条件

ここでは、沿岸部の都市でM9、震度7の地震が起きたと仮定して、津波高を10mの場合と45mの場合を想定して、おおよその遡上高を計算してみます。前提条件として、以下の設定を行います。

  • 深海部の水深 h1 :4000m
  • 浅海部の水深 h2 :100m

津波高10mの場合

深海部の津波の波高 H1 :10m

浅海部での津波の波高 H2 を計算します。

H2 = 10 * (4000 / 100)^(1/4)
H2 = 10 * (40)^(1/4)
H2 = 10 × 2.51
H2 ≈ 25.1m

計算結果として、津波高10mの場合、浅海部での波高は約25.1mとなります。

津波高45mの場合

深海部の津波の波高 H1 :45m

浅海部での津波の波高 H2 を計算します。

H2 = 45 * (4000 / 100)^(1/4)
H2 = 45 * (40)^(1/4)
H2 = 45 × 2.51
H2 ≈ 113.0m

計算結果として、津波高45mの場合、浅海部での波高は約113mとなります。

注意事項

遡上高は地形や周囲の環境によって影響を受けるため、実際の浸水範囲や影響はさらに詳細な解析が必要です。

この計算は基本的な理解を助けるためのものであり、実際の防災計画には地形特性や詳細なシミュレーションが不可欠です。

それぞれの結果として

これらの結果は、遡上高として理解することができます。

つまり、津波が陸上に到達した際、10mの津波なら標高25.1m、45mの津波なら113mの高さまで水が押し寄せることを意味します。

「あ、じゃぁ近くの山が150mあるから、そこに行けば良いんだぁ」と、安心しないでください。

この計算は、海底の地形や町の地形、波の特性、海底の浅いところ、深いところの地形などは含まず、単純計算しただけです。

また、仮に避難した場所まで水が押し寄せてこなくても、そこから自宅へ戻る道路であるとか、数日間にわたり身動きが取れない場合などを考えて避難場所を決めておくことが大事でしょう。

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